発言文字化、本番は「80%」 北区議会、目立った誤変換/東京都

2015/06/26

朝日新聞 東京 2015年5月27日

 北区議会の本会議が26日あり、聴覚障害者の斉藤里恵区議(31)のために導入された、議場での音声を自動で文字化するシステムが初めて使われた。文字化の精度はテスト時より落ち、「80%」(斉藤区議)。区議会事務局は、単語登録を増やすなど「対応を急ぐ」としている。

 斉藤区議は、「テスト時より長文が多いためか、誤変換が目立った。隣の区議に助けてもらい理解できた」と振り返った。斉藤さんの隣に座ったのは、維新の吉岡慶太郎区議(48)。「斉藤さんはかなり困っていた」。斉藤区議が机上に立てていたIT端末を時々見て、ひどい誤変換があると筆談で正しい文字を教えた。単語だけでなく「意味が全然わからない文章もあった」という。

 システム上の課題も見えた。IT端末は、1行30字で最大8行が表示される設定だが、8行以上の発言があった時点から、古い発言の行が次々と消える。「音声を再び聞けないほかの区議との公平性を考慮する」(区議会事務局)として、消えた行の文字は復活できない設定になっており、今回の変換精度などの検証はできないという。

 区議会事務局の田名辺要策次長は「事前テストと違い、今日は精度が落ちていたと」と認めた。システムを開発した業者側と改善策を協議するという。

 この日は新しい議長を決める臨時会のため、一日限りで閉会。斉藤区議らの発言はなかった。