障害者として初めてJICA長期派遣専門家になった 奥平 真砂子さん(37)

2015/05/05

朝日新聞(ひと欄) 2015年4月29日

 街に出ると、周囲が珍しそうに視線を向ける。約半世紀にわたり紛争が続く南米コロンビア。坂道の多い西部の主要都市メデジンを電動車椅子で動き回る。

 障害者として初めて国際協力機構(JICA)の長期派遣専門家になり、先月赴任した。障害がある紛争被害者の実態調査をして、必要な支援策を考える。脳性まひで手足は思うように動かないが、介助スタッフの手を借りながら仕事をこなす。

 子どもの頃、障害があることに劣等感を抱いていた。大学卒業後、民間財団の海外派遣事業で米国カリフォルニア州バークリーへ。そこでは障害者が自分の希望をはっきり伝え、積極的に仕事をつかみ取っていた。「仕事があるだけありがたい」と思い込んでいた自分とは正反対だった。

 帰国後は民間企業を経て、日本障害者リハビリテーション協会で発展途上国の障害者リーダーを育成する研修を担当し、「自分のことを自分で好きになって」と伝え続けてきた。

 コロンビアでの任期は2年。街の開発は進む一方、地区によって格差は激しく、物乞いする障害者の姿も見た。「米国の元気な障害者に出会って私は変わった。今度は私が、コロンビアの障害者を元気づけたい」。現地の障害者と直接話したいと、スペイン語を勉強中だ。