高IQの発達障害児学級   「能力のばしたい」東京で来月スタート

2015/04/06

毎日新聞 2015年3月8日

 ずば抜けて知能は高いが、コミュニケーションが苦手――そんな子どもが対象の新たな学級(コース)を、発達障害児の教育に取り組む民間の教育施設「翔和学園」(東京都中野区)が4月から試験的に始める。「できすぎる」ために不登校になってしまう子どもの受け皿として、医師や研究者と連携して学習を支えていくという。

 英米では著しく知能が高い子どもを「ギフテッド」と呼び、中でもLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害がある子どもは、記憶力に優れ好奇心が強いのが特徴で、「2E」とも呼ばれる。英米ではその能力に対応する学級があるが、日本ではまだ広まっていない。日本の特別支援教育が、苦手を克服することに重きを置いているためだ。

 同学園には現在106人が在籍し、それぞれの習熟度に応じて受講している。新たに設置するコースには、在校生では高等部の男子生徒2人が進む予定。職員の石川さんは「能力を伸ばせるよう、専門家と交流し、関心分野を深めてもらいたい」と話す。具体的な授業の中身は生徒の意向を尊重しながら決めていくつもりだ。

 医学的観点から助言などをしている小児神経科医で、NPOギフテッド研究所の宮尾益知理事長は「授業が退屈だと感じたり、周囲をばかにしていじめられたりして、不登校になるケースは少なくない。うつや引きこもりになって医療機関につながることが多く、予防のためにもギフテッドの子どもの学習環境を整えたい」と話す。