「誰でも使える機能」人権の一部

2026/02/25

朝日新聞 20026年2月16日

身近にあふれるアップル製品。その誕生の歩みには「アクセシビリティー」と総称される目や耳、体が不自由な人でも使いやすくする機能開発の歴史もあった。設計思想はどう紡がれてきたのか、同社担当幹部のサラ・ハーリンガーさんに聞いた。

ある従業員のアイデアが故スティーブ・ジョブズ氏に持ち込まれ、アクセシビリティー担当チームが始まった。

デスクトップパソコンのマッキントッシュが出た1984年ごろ、障がいはすべての人にとって最優先事項ではなかったかもしれないが、開発陣は当事者にとって大切なことだと理解していた。アップル製品を使って、誰もが自分のやりたいことをして、夢を実現できる力を持っていただけるようにしたい、という思いがあった。

1987年、障がいがある方を支援するための機能を初めて基本ソフトに組み込んだ。何が標準機能として役立つか模索していた。2005年、マッキントッシュに、画面の文字を読み上げる機能「ボイスオーバー」を組み込んだ。それまでは視覚障がい者がコンピューターを操作するには別製品が必要で、追加費用がかかり、設定を誰かに手伝ってもらうなどの手間もかかった。ボイスオーバー搭載によって、コンピューターを購入しさえすれば、ボタンを押すだけでそのまま起動できるようになった。2009年、その機能をアイフォーンなどの端末向け基本ソフトに搭載したことは画期的だった。

望む未来は、世界中での「ノーマライゼーション(障がいの当たり前化)」だ。障がいのある方々にも同じように機会を与えること、テクノロジーが妨げではなく助けになることを願っている。アクセシビリティ-は基本的人権の一部であり、世界への提供方法の一部として確実に組み込むようにしたい。変化し続けるテクノロジーを、私たちが取り組む一つ一つの中核へといかに組み込み、構築し続けていくか。それが重要になる。