
雪・短期、障害者の投票に壁 「車いす、物理的に行けない」 衆院選
朝日新聞 2026年2月3日
障害がある人たちには「投票に行きたくても行けない、行きづらい」と感じてしまう「投票の壁」がある。今回の衆院選は真冬で、解散から投開票までは戦後最短の16日間となり、この壁がさらに高くなっている。難病・脊髄性筋萎縮症で、札幌市に住む竹田保さん₍65₎は「難しいとは思っていたが、選挙が始まってみると厳しさが強まった」と打ち明ける。市内では雪が続き、除雪された雪は2階まで迫る。歩道や駐車場も真っ白で、電動車いすを利用した外出は制約を受ける。竹田さん自身は神経を使いながら車いすを操作し、投票所の係員に簡易スロープで雪を覆ってもらい投票したが、仲間からは「今回は無理だね」という声が寄せられているという。高市首相は解散表明の会見で、「雪国の皆様には大変なご足労をいただく」と述べたが、竹田さんは「『行きづらい』のではなく、物理的に『行けない』人がいることも考えてほしい」と話す。
短期決戦は、投票のための情報収集にも影を落としている。
特別支援学校高等部を卒業した知的障害のある生徒らが、社会に出る準備をするための福祉型専攻科・大学「ユースコラ鹿児島」では、選挙のたびに投票方法や各党の政策の違いを学ぶ学習会を開いてきた。しかし、今回は選挙が決まった時点で、1月の授業スケジュールは組み終えていた。学園長の西園健三さん₍64₎は「これまでは各政党の政策や障害者団体がまとめた情報などを取り寄せて、丁寧に準備してきたのに」と頭を抱えたが、職員会議で話し合い、何とか2月3日に学習会を設けることにした。それでも懸念は残る。人混みが苦手な学生は、比較的人の少ない期日前投票を利用するが、3日の学習会後では日が限られ投票できないかもしれない。西園さんは「突発的な選挙は、障害を持つ人々が政治参加する機会や、生活や雇用環境をよくしたいと考える権利を奪うことにもつながる」と訴える。
障害者らが投票しやすいよう環境整備を求め、日本障害者協議会は1月20日、障害者の投票に関する要望書を総務省に提出した。昨夏の参院選後の「投票バリアフリー実態調査」への回答を踏まえ、「合理的配慮」の周知徹底や、移動支援、巡回投票、点字器の設置などを求めた。同協議会の薗部英夫副代表は「障害者が投票しやすい環境づくりに向けた改善は始まってはいるが、今回は突然の選挙で、障害者にとってより困難になる可能性がある」と心配、「各地の選挙管理委員会は当事者と対話し、要望を受け止めてほしい」と訴えた。





