「壁」のないやりとり デフリンピックから 音声文字化や手話翻訳技術 全国に拡大へ

2025/12/04

朝日新聞 2025年11月14日

聞こえない、聞こえにくい選手の国際スポーツ大会「デフリンピック東京大会」の開催に合わせて、ろう者と聴者が円滑にやりとりできるようにする技術の開発と普及が進んでいる。

15日に開幕するデフリンピック東京大会は、80か国・地域から選手ら5千人以上が参加する。都は全日本ろうあ連盟と協力して大会の運営にあたっており、目標の一つとして、誰もが円滑に意思疎通できる「ユニバーサルコミュニケーション」の普及を掲げている。

ろう者と聴者のやり取りには筆談が多く用いられるが、表情を通じて感情をやりとりすることが難しく、時間もかかる。都庁の窓口に設置されたディスプレーは、リアルタイムで音声を文字化し、表情を読み取ることもできる。都は大会を機に警察署やスタジアムなど都有施設110カ所に設置した。ディスプレーには翻訳機能もあり、外国人観光客への対応にも使える。開発企業によると、駅や旅館、レンタカー店など全国の約200カ所に設置。都は自治体の役所や駅に設置する費用を助成し、普及を後押ししていくという。

音声を文字化するツールは開発が進み、大会競技会場でもアナウンスを文字化する画面が客席に設置される予定だ。ろう者からの発信方法は文字の出力が中心で、「双方向の円滑な会話」には課題が残っていた。そこで通信大手のソフトバンクは手話をリアルタイムで文字に翻訳する「SureTalk(シュアトーク)」を開発した。タブレット画面に向かって手話を使うと自動で文字に起こす。聴者が話した言葉も文字に起こされるので、両者がリアルタイムで会話できる。当初は日本手話のみに対応していたが、大会を機に都から依頼を受け、国際手話と米国の手話にも対応できるようアップデートした。大会期間中は選手らが宿泊するホテル十数カ所に設置されるという。

開発チームの立ち上げから関わる社員で、自身も耳が聞こえない竹田結衣さん₍32₎は「大会を契機に技術が社会に広がって、わたしたちろう者の母語である手話が伝わらない悔しさが少しでも減っていけばうれしい」と話す。