障害ある女性 絡み合う困難 雇用の男女格差置き去り

2025/03/11

朝日新聞 2025年3月8日

1985年に男女雇用均等法成立以降、是正が進んできたが、障害のある人の雇用では格差が放置されている。専門家は、障害のある人とジェンダーの課題について別々の施策がとられ、「障害があり、女性であること」によって絡み合う困難が置き去りにされている、と指摘する。

「労働力調査」に基づく厚生労働省の分析によると、国内の雇用者数の女性比率は、2023年は46,0%で、「男性5:女性5」に近づきつつある。障害のある人については同省が行う「障害者雇用実態調査」で障害別の比率を出しているが、2023年度は「男性7:女性3」の状態にあった。前提となる障害のある人の男女比はほぼ半々。

平均賃金は、障害のある人に限らず男女格差が残り、「男性全体>女性全体>障害男性>障害女性」という序列化がみられる。

厚労省は「障害者と障害者でない方の均等な機会の確保などを目的に、男女問わず支援を行った結果、雇用者数は21年連続で過去最高を更新。女性比率も改善傾向にある」としている。

障害とジェンダーに詳しい瀬山紀子・埼玉大准教授は「障害者の中でも特に女性は、家族に依存した生活が前提とされ、経済的自立が軽視されてきた。政府は障害者基本計画などで障害女性の複合的困難に言及しているが、障害者施策にはジェンダーの視点はかけたままだ」と話す。障害者権利条約₍2014年批准₎は、障害女性が複合的な差別を受けていると明記。国連の女性差別撤廃委員会は昨年10月の対日審査で障害女性など、「不利な状況にあるグループの女性」が交差する形の差別に直面し続けていると強い懸念を表明した。

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