聴覚障害者の傍聴、文字通訳 大阪高裁、パソコンで閲覧認める

2024/10/17

朝日新聞 2024年9月26日

大阪高裁は、刑事裁判の傍聴を希望する聴覚障害者にパソコンによる文字通訳の利用を認めた。傍聴人に認められることは珍しく、専門家は「裁判を傍聴する権利を尊重した重要な判断」と評価する。30日の公判を傍聴希望の聴覚障碍者が、書面で申請した。パソコン利用は認められないことが多いが、申請者は「法廷の静寂を維持します」と書いた。高裁が、申請者が居住する自治体に通訳支援を要請、委託を受けたスタッフが法廷内の音声のやり取りをパソコンで文字に起こし、伝える。自治体は「法廷傍聴も社会参加の一つ」と利用を認めたという。高裁は「事件ごとの事情を検討した」と説明した。

最高裁は障害者差別解消法が施行された2016年、裁判所を訪れる障害者に「合理的配慮」をすると定めた。強制不妊手術の最高裁判決では、手話通訳費を初めて裁判所が負担した。

障障害者の権利擁護に取り組む辻川圭乃弁護士は「障害者が多く訪れる裁判でなくても、傍聴人に配慮したのは、最高裁の対応をさらに一歩進めたものだ」と評価した。申請者は「認められてうれしい。障害の有無にかかわらず、誰でも傍聴したいときに傍聴できる環境になってほしい」と答えた。