「人生救う判決を」 強制不妊 最高裁で弁論

2024/05/31

朝日新聞 2024年5月30日

優生保護法(1948~1996年、旧法)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷は29日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。原告らが「被害者の人生を救う判決を」と訴えて結審した。判決は夏にも言い渡される見通し。

旧法は「不良な子孫の出生防止」を目的とし、障害や特定の疾患がある人に強制的に不妊手術ができると規定した。手術を受けた当事者ら39人が2018年以降、全国の地裁・支部で提訴し、大法廷は札幌、仙台、東京、大阪の4高裁が判決を出した5訴訟を審理している。

訴訟の争点は①旧法が憲法違反か②不法行為から20年が過ぎると賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用してよいのか、だ。仙台訴訟の原告・飯塚淳子さん(仮名、70代)は、「被害を闇に葬られてはいけないと訴えてきたが『国は謝罪も調査もしない』とくり返した」と訴えた。別件の原告の代理人弁護士は「戦後最大の人権侵害が20年過ぎただけで無罪放免になるのか」と除斥期間の適用を批判した。

国側は、「除斥期間により賠償請求権は消滅した」と主張した。

5訴訟の控訴審では、仙台高裁が除斥期間を適用して国の賠償責任を否定、ほかは国に賠償を命じた。5訴訟とも旧法は違憲と判断した。最高裁の裁判官15人全員で審理を行う大法廷は判決で、除斥期間をめぐる判断を統一し、旧法の違憲性も判断すると見られる。