障害者入所 5%減目標 政府 地域移行 想定より進まず

2023/03/19

朝日新聞 2023年2月28日

施設や病院で過ごしている障害者数について、厚生労働省は27日、社会保障審議会の部会で、2026年度末までに5%削減するという目標を示した。国は3年に1度、障害者へのサービス提供や支援に関する基本指針を見直しており、今回の期間は2024~2026年度。国連の委員会が昨年9月、日本では障害者の地域移行が進んでいないとし、地域生活への移行を目指す法的枠組みづくりなどを勧告したことを踏まえ、検討された。

施設入所者数は2011年度末の約13万7千人から減少傾向が続くが、一方で重度の入所者の増加や高齢化が進んでいる。重度や高齢の障害者は、医療的ケアが必要な人も多く、地域で生活できる環境が整っていないところもある。こうした事情も背景に地域への移行者数は減少傾向にあり、どこまで進められるかは見通せない。

精神病床での入院は、1年以上の長期入院患者数を2020年度時点の17万1千人から、26年度に約13万8千人に減らすことを見込んで、地域の基盤を整備する。「精神障害当事者会ポルケ」の山田悠平・代表理事は「新たな指針は、国連の委員会から指摘されたことが反映されているとは思えない」と訴える。精神病床での1年以内の退院率の目標は91%と設定されたが、「これでは10人に1人が長期入院になってしまう。国際的に見ると長期入院が多いと指摘された状況を認識してほしい」と話す。