“排除”された生徒がいる 都立高入試スピーキングテスト反対の中強行

2023/03/16

AERA 2022年12月

11月最後の日曜日、約7万人の中学3年生が、東京都教育委員会(都教委)がベネッセコーポレーションと実施したスピーキングテスト「ESAT-J」を受験した。タブレットに回答を録音する形で行われ、結果は来年2月に実施される都立高校入試で合否判定に使用される。

受験会場が決まらず、混乱し、多くの生徒が区をまたいだ移動を強いられた。学校単位で会場が指定されたが、障害や病弱などに応じ「特別措置」を受けた生徒は、さらに遠い別会場に向かった。

補聴器を使用する生徒も悩まされた。テストはイヤホンを使用するため補聴器を外さなければならないが、補聴器をして通常学級で学んでいる子に「補聴器を外してテストを受ける」という認識はなく、特別措置の申請が必要だと気づかない子もいた。都教委はそのことを知っていたが、生徒に説明がなかった。ろう学校の勤務経験があり、現在区立中学の学習支援教員を務める高木純吾氏は「問題を知りながら、なぜ周知しなかったのか」と語る。

今回の「特別措置」に関して、文京区議で障害児の教育に詳しい海津敦子氏は「都教委に通常学級に障害を持った子がいるという意識がなく、『合理的配慮』を非常に軽く考えている。申請の締め切りも早く、障害のある子には受験してもらいたくないのでは、と思える内容だ」と話す。実際、不受験を打診された子もいる。「受けないという選択しかできない子がいる。これは明らかに排除だ」と高木氏は指摘する。実施要項では、特別支援学校や特別支援学級在籍の生徒は「希望受験」とされた。つまり、合理的配慮を求める前に、受験しなくてもよいとされたことになり、都立高入試のスピーキングテストから「排除」された形だ。

反対運動はいまも続いている。