強制不妊 国に賠償命令 旧優生保護法 静岡の女性 地裁2例目

2023/02/27

朝日新聞 2023年2月25日

旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、聴覚障害がある静岡県の80代の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、静岡地裁であった。増田吉則裁判長は旧法を違憲とし、国に1650万円の賠償を命じた。

旧法をめぐる同種の裁判は全国10の地裁・支部で起こされている。これまでに出た9件の一審判決では、7件が請求を棄却していたが、1月の熊本地裁判決は原告の訴えを認め、静岡が2例目となった。控訴審では昨年2,3月の大阪、東京両高裁で原告が逆転勝訴。静岡弁護団団長の大橋昭夫弁護士は「司法は正義、公平の観点から、被害者を救済するという姿勢を完全に固めた」と評価した。

判決では、旧法による優生手術を「子を産むか否かを意思決定する自由を侵害した」として、幸福追求権を規定した憲法13条に反すると指摘。「特定の傷害や疾病を有する者を、差別的な思想に基づいて不合理な取り扱いをするもの」として、法の下の平等を定めた憲法14条に反するとの判断を示した。民法の規定「除斥期間」についても、「国が全面的かつ組織的な施策によって、原告が優生手術を強いられた事実を知り得ない状況をことさらに作り出した」と批判し、適用を制限する判断を示した。