デジタルTRY 特別支援教育にICT 生徒の思い 引き出すiPad
2022/12/14
朝日新聞 2022年11月29日
知的障害がある子どもたちが通う茨城県立協和特別支援学校の藤田武士教諭(46)は、特別支援教育でのICT活用で3つの視点を意識している。
一つ目が、「できるを実感できる」。音楽の授業では鍵盤ハーモニカを演奏しながら楽譜を目で追うことが苦手な児童に向け、パワーポイントを使った教材を作った。「誰かに指示されながらではなく、自分で演奏できることを実感してほしい」との思いからだ。
二つ目は「表現の幅を広げる・引き出す」。藤田さんは「自分の思いを伝えるのが苦手な子にとって、ICTは非常に相性がよい」と言う。たとえばフォトポエム。生徒がiPadで撮影した写真に、自分の思いを打ち込む。たとえば『秋の風景』をテーマにすると、それぞれがどんなところに秋を感じるのか、異なる視点が引き出されるという。「いつもなかなか思いを口にできない子も、iPadを介して『こういう視点を持っていたんだ』と気づかされます」。
三つ目が、「制限ある中での活用」だ。コロナ禍で高等部は沖縄県に修学旅行に行けなくなった。しかし、オンラインで現地とつなぎ、水族館のバックヤードを見せてもらったり、伝統菓子の工場の人に話を聞かせてもらったりした。「コロナで活動が制限されても『オンラインならできる』と発送を切り替えるようになった」。特に、見通しが立たないことに不安がある児童生徒にとっては、事前準備に役立ち、不安を解消しやすくなると感じているという。