障害者の地域生活支援 政府、法改正案提出へ

2022/10/16

朝日新聞 2022年10月15日

障害者が地域で暮らしていけるように支援を強化する障害者関連法の改正案が14日、閣議決定された。グループホームを新設するほか、地域生活の拠点整備などを市町村の努力義務とする。政府は開会中の臨時国会での成立を目指す。日本は施設や病院で生活する障害者が多く、課題とされている。厚労相は地域生活への移行を進めるため、仕組みを整えていく方針だ。

グループホームでは、一人暮らしを希望する人が集まって一定期間入居する新たなタイプを設ける。一人暮らしに必要な家事や金銭管理のやり方などを習得できるようサポートする。地域生活を始めた後も一定期間、ホームの事業者が相談に応じるよう求める。

市町村が整備する地域の拠点は、緊急時のサービス提供のほか、施設や病院で暮らす人が一時的に退所(退院)した際の支援にあたる。入所・入院が長期化した人も、地域での生活を体験してもらうことで移行しやすくする。

精神科病院をめぐる改正案では、職員らによる虐待を発見した場合、都道府県などへの通報を義務づける。通報した職員らが不当な扱いを受けないようにすることを明記する。

また、家族らの同意で強制的に入院させる「医療保護入院」については、同意が困難な家族もいるため、家族の意思表示がない場合にも、市町村長の同意で入院できるようにする。ただ、当事者団体からは、「減らしていくはずの医療保護入院が増える恐れがある」との懸念も出ている。