保障対象外の脳性まひ児 「不合理」に救済求め 家族から国へ働きかけ

2022/09/14

大阪日日新聞 2022年8月23日

出産事故で重い脳性まひとなった子どもに総額3千万円を支給する「産科医療保障制度」から「医学的に不合理」な理由で対象外となった子どもの家族らが、救済を求めて国への働きかけを強めている。「産科医療保障制度を考える親の会」(中西美穂代表)は6月12日にオンラインシンポジウムを開いた。約80人が参加し、当事者の実態と制度の問題点について理解を深めた。

2009年に始まった同制度は、妊娠28週から31週の早産児への保障の有無を個別審査で判定してきた。しかし、専門家から不公平性や医学的不合理などの問題が指摘され、2022年1月から個別審査は廃止された。妊娠28週以降に生まれた子どもは原則対象となるなど、範囲が広がった。

一方、制度改定前の2009~2021年に個別審査で対象外となった子どもは保障されないままで、家族が声を上げている。親の会は対象外となった約550人の救済を国に求めている。昨年12月に厚生労働省と、制度を運営する日本医療機能評価機構に要望書を、この8月5日にも厚労省に要請書を提出した。

国会では、5月30日の参院予算委員会で救済の可能性について問われた岸田首相は「この制度での救済は難しい」としつつも「親御さんの話をよく聞き、丁寧な検討と説明が重要だ」と述べた。同機構と厚労相は「当時の医療水準・基準では適切に執行した」としており、さかのぼって保障することに慎重姿勢を貫いている。

親の会代表の中西さんは2016年に双生児を出産。次男に脳性まひがあり、申請したが個別審査で「対象外」となった。「子どもを助けるための制度なのに、実際には助けられていないことを知ってほしい」と話す。