発達障害の子を持つ悩み、相談を 福岡の事件「人ごとと思えない」

2022/08/02

朝日新聞 2022年7月27日

中学生を脅かして拘束したなどとして、福岡県で障害者施設を運営する法人の理事長らが逮捕された。子どもの行動を改善するという理事長らによるセミナーには、切実な悩みを抱える人たちが集まっていた。同じように悩む保護者らは「人ごとではない」と受け止め、専門家は公的な窓口に相談するよう呼びかけている。

各地の発達障害者支援センターからは、対応が困難とされる家庭内暴力の報告が複数上がっているという。暴力の原因が発達障害であるとは限らないとした上で、担当者は「自傷や他害などの行動に対処する研修を受けた人材もいるので、公的サービスを利用するのが望ましい」と話す。相談すると受け入れ施設の情報や子への接し方について具体的アドバイスが得られるという。「一度利用した施設が会わない場合もあろうが、他の情報が得られるかもしれず、継続的に相談してほしい」

国民生活センターによると、「施設に利用を断られた。どうにかならないか」 「高額な入所料を払っているが、サービスレベルに納得できない」など、障害者の自立支援施設に関する相談が時折寄せられるという。

井上雅彦鳥取大大学院教授(臨床心理学)は、「相談しても親のせいにされたり様子を見るだけだったり、機関をたらい回しにされるなどの声を聞く。学校は家庭の問題までは対応が難しい。こうした現状が親子を追い込む要因の一つになる」と話す。逮捕された理事長らは、子どもの手足を拘束し、頭に袋をかぶせて殴るなどしていた疑いがある。「暴力や心理的威圧などの『罰』で対応すると、一時的に改善したように見えるが、戻ったりさらに悪化することもある。悩む親は多くの公的な窓口に相談してほしいし、行政は、医療、福祉、教育、心理で連携した支援体制を作り、チームや地域で家族全体を支援することが急務だ」

■発達障害についての相談先

各地の発達障害者支援センター http://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/

各地の療育センター

市町村の福祉担当窓口

近くの小児科や児童精神科