「ガタン、ゴトン」見える化 JR上野駅で実験、聾学校生ら発案

2022/07/04

朝日新聞 2022年6月15日

駅ホームのアナウンスや電車の発着音を文字や手話で表現する実証実験が15日朝から、JR上野駅で始まった。耳が不自由な利用者らが駅を安心して使えるようにするため。富士通やJR東日本などが12月14日まで実験を続け、実用化を検討していく。

ホーム上で流れたアナウンスに合わせ、自動販売機の上に設置された装置に「危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がり下さい」と表示された。駅員による手話動画も流れ、電車がホームに近づくと、「ガタン、ゴトン」の文字が大きくなっていった。システムを手がけた富士通によると、ホーム上の音をリアルタイムで拾い、AIで情報を識別しているという。「1番線、ドアが閉まります」などの定型アナウンスは文字に変換され、電車の発着音やドアの開閉音はアニメーションの文字で表現するこの装置は、「エキマトペ」と名付けられた。

富士通などが昨年7月、川崎市立聾学校の生徒らとワークショップを開いた際、電車を利用する生徒らから「音声を文字にしてほしい」といった意見があり、この装置をつくったという。富士通の開発チームでリーダーを務める本多達也さん(31)は「聴覚障害のある人にとって便利になるだけでなく、駅を利用する人の障害への意識も変わっていくような駅体験になってほしい」と話す。