障害者条約で国連審査 8月、日本の政策に勧告

2022/06/23

大阪日日新聞 2022年5月31日

国連の障害者権利委員会が日本に対する政策審査を8月下旬に実施することが、30日わかった。障害者権利条約締約国に改善点を勧告するための手続。勧告に拘束力はないが、当事者の社会参加や生活向上につながる可能性があり、「政府はしっかり向き合い、改善を図ってほしい」と期待の声が高まっている。

日本が審査を受けるのは初めて。審査はスイスで8月22,23日に行われ、勧告は1ヵ月程度のうちに出る見込み。政府にはすでに事前質問が届いており、旧優生保護法による強制不妊手術や、災害時の対応、精神病院での長期入院といった課題が主な論点になるとみられる。

日本政府は2014年に条約を結び、2015年に障害者関連の施策について国連に報告書を提出。国連は、日本弁護士連合会や障害者団体が出した報告書も踏まえて審査する。報告書を出した日本障害フォーラム(IDF)の佐藤聡特別委員会事務局長は政府の取り組みについて「東京五輪・パラリンピックで交通機関のバリアフリー化は大きく進んだ」と評価。一方で「精神科病院でコロナのクラスターが相次ぎ、患者が劣悪な環境に置かれるなど課題も浮き彫りになった。国は勧告を重く受け止め、施策の拡充に取り組んでほしい」と話している。