てんかん協会、啓発に力 京都、暴走死亡から10年―発作起因の事故なくならず

2022/04/21

大阪日日新聞 2022年4月12日

京都・祇園でてんかん発作を起こした運転手の車が暴走し、通行人7人が死亡した事故から12日で10年となる。この間、法改正による規制強化もあったが、支援団体「日本てんかん協会」によると、運転手の発作に起因する事故はなくなっていないという。同協会は患者向けの注意喚起とともに、社会の偏見をなくすための啓発を行ってきた。

てんかんは適切な治療を受ければ大部分は運転に支障ないが、免許の取得・更新には2年間発作がないなどの条件がある。祇園の事故の男性は病状を申告していなかった。

2011年には栃木県鹿沼市でクレーン車事故があり小学生6人が死亡した。厳罰化を求める声が強まり、免許取得・更新時に病状を虚偽申告した場合に罰則を科す改正道交法が2014年に施行された。しかし、その後もてんかんが関係する人身事故はゼロではない。「交通事故総合分析センター」によると、データのある2004~2019年、年間70件前後で推移している。てんかん協会の田所裕二事務局長は、不便な地域で買い物に行くだけと油断して事故を起こす場合が多いと指摘、「てんかんという病気ではなく、患者の意識の問題だ」と話す。協会は祇園の事故を受け、軽度の患者向けの啓発を強化した。主治医への相談や正しい申告などを呼びかけている。厚生労働省に働きかけ、各地域にてんかんの拠点医療機関を指定し、知見を共有する試みも始まった。

患者に対する誤解を避けるため、協会のサイトや冊子で正確な情報の発信にも努めてきた。田所さんは「てんかんはコントロールしやすい病気。治療をしっかり受けて何事にも挑戦してほしい」と語った。