強制不妊、国に賠償命令 原告逆転勝訴、除斥期間適用せず=大阪に続き2件目・東京高裁

2022/04/19

JIJI.COM 2022年3月11日

旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、東京都内の男性(78)が国に3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が11日、東京高裁であった。平田豊裁判長は旧法を違憲と判断し、1500万円の支払いを命じた。国の賠償責任を認める判断は2月の大阪高裁に続き2件目。いずれも被害発生から20年が帰化すると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しなかった。

平田裁判長は、旧優生保護法について「憲法に違反することは明らかだ」と人権侵害に当たると認定。国が賠償責任を負うと判断した。その上で、被害者の多くは特定の病気や障害を理由に差別を受け「二重三重にも及ぶ精神的肉体的苦痛を与えられた」と指摘。国の施策で偏見・差別が社会に浸透したとし、除斥期間を理由に被害者の賠償請求権を消滅させるのは「著しく正義・公平の理念に反する」と結論づけた。また、2019年に成立した救済法は、一時金の請求権を施行日から5年と定めており、提訴も5年の猶予期間が与えられるべきだとし、その間は損害賠償請求の権利が消滅しないとの考えを示した。

平田裁判長は判決言い渡しの後、異例の「所感」を読み上げた。「差別のない社会をつくっていくのは、国はもちろん、社会全体の責任。そのためにも、国の責任を不問に付すのは相当ではないと考えた」と話した。

厚生労働省は、判決内容を精査し、関係省庁と協議した上で適切に対応する、としている。