ダウン症の人、8人に1人が雇用 親は「比較的高い幸福感」生活調査

2022/04/07

朝日新聞 2022年4月2日

日本ダウン症協会と日本ダウン症学会は3月27日、ダウン症のある人の生活状況と、親の幸福度をまとめた調査結果を発表した。調査は2020年7月、協会の正会員4471人にアンケートを送付、1581件の回答があった。通園・通学している人と、就労段階にいる人が半数ずつだった。

就労世代では8人に1人が何らかの形で雇用されており、一般就労が約2%、一般企業の障害者枠が約6%、就労継続支援A型が約3%など、8人に1人が雇用されていた。雇用契約ではない就労継続B型が最も多く、約51%だった。

本人の日常生活では、「こだわり」が約半数にあり、「何度も同じ話をする」「集中力が続かない」、「支援を拒否する」といった困難が約2~3割の人にみられた。

両親の幸福感については、「人生が面白いか」「現在の生活は幸せか」「自分がやろうとしたことはやりとげているか」など15項目について尋ねた。60点満点に対し平均41~42点と比較的高い幸福感を持っていた。

両親に他人の言動が励ましになったかストレスになったかを尋ねたところ、医療・教育・福祉の関係者の言動は励みよりストレスに感じやすく、見ず知らずの人からの言動はストレスより励みに感じていた。この結果について、玉井浩・小児高次脳機能研究所長は「ダウン症への理解が深まっていることが考えられ、今後も正確な情報提供が必要」と分析する。

本人の状態については、「おおむね健康」が約34%、「おおむね健康だが通院中」が約60%だった。ダウン症のある人は、小学生以降は大きな病気にかかることは少ないが、成人期以降に合併症が出ることがあり、年1回検診を受けることが望ましい。調査によると、12~17歳は半数が小児科、約18%が内科に、一方18~23歳は約24%が小児科、約33%が内科にかかっていた。小児科から内科への移行が十分にされていないため、医療の空白期間があることも浮かび上がった。

今回の調査は、出生前検査を受けるカップルにダウン症の正確な情報を伝える目的がある。4月からは出生前検査の対象年齢の制限がなくなり、検査の情報が提供される。玉井さんは「出生前検査で、ダウン症を含めた染色体疾患を排除していくことが当然と思われないようにしていきたい」と話している。