
(現場へ!)発達障害の「声」聞く:2 背中押してくれる、娘の言葉
2022/03/31
朝日新聞 2022年3月1日
柴崎直子さん(51)は、1988年に東京都職員となり、障害者の入居施設に勤務。結婚し、長女・雪乃さん(17)と長男を出産した。育児休暇を取得後、2010年から児童相談所に配属された。
雪乃さんは2012年、発達障害と診断された。6年生で不登校となり、ストレスがたまると暴れた。激しい感情の起伏に柴崎さんはとことんつき合い、不安を吐き出させた。中学の特別支援学級で少しずつ登校を始めるようになった頃、長男が不登校になった。子育ての不安が重なった頃、柴崎さんは障害児の通園施設に異動となった。慣れない仕事の負担ものしかかり、起き上がれなくなった。過労によるうつ病と診断され、休職した。家事はほとんどできなくなった。不安定になった雪乃さんの「仕事からも子育てからも逃げるのか」という言葉に応える力はなかった。
休職中は子どもを「行ってらっしゃい」と送り出し、「おかえり」とハグした。以前は持てなかった大切な時間を重ねる毎日に気づき前向きになれた。夫は家事を担い回復を見守ってくれた。
投稿の「見られなかった月食」の夜、天体ショーへの期待を大勢と共有できたと喜んだ雪乃さんの姿と言葉は復職を考え始めていた柴崎さんの心を揺さぶった。「見られなかった」とできなかったことを数えるのではなく、できたことも多くあると教えてくれた雪乃さんの言葉は、今でも柴崎さんの不安を和らげてくれる。





