着床前診断 成人後疾患も 出産の選択 判断難しく

2022/02/15

毎日新聞2022年1月10日

日本産科婦人科学会(日産婦)は9日総会で、受精卵の遺伝子や染色体から重い遺伝子疾患の有無を調べる「着床前診断」の対象を「成人後に発症する病気」にも条件付きで広げることを決めた。評価する声が上がる一方、治療技術が向上する中、20年以上先に発症する可能性について今、産むかどうかを選択する難しさを指摘する意見も根強い。

カップルが着床前診断を希望した場合、医療機関は日産婦の審査委員会に申請。必要に応じて専門学会も加わり可否を審査する。有効な治療法がないか、高度な医療が必要な重い疾患であることが条件だが、治療技術の進歩をどこまで考慮するか、大きな課題だ。

中村公俊・熊本大教授(小児科学)は「治療法の進展と共に判断は大きく変わっていく。病気の予後や実際の患者の生活を丁寧に説明した上で、一緒に考えていく体制が欠かせない」と語る。