手話をAIで文字変換 聴覚障害者をサポート

2021/11/18

大阪日日新聞 2021年11月11日

  人工知能(AI)を活用して手話を瞬時に日本語の文字に変換するシステムを、電気通信大(東京)とソフトバンクが開発した。自治体の窓口などに設置し、聴覚障害者とのやりとりをサポートする。将来はスマートフォンで誰でも簡単に使えるサービスを目指している。

 システムを導入した習志野市の担当者は「筆談でもコミュニケーションはできるが、リアルタイムで翻訳してくれた方が円滑」と評価。水戸市や調布市も窓口に設置している。

 今後の課題は、正確に変換できる語が1500語とまだ少ない点だ。ソフトバンクの開発担当者は「手話を正確に変換するためには、手本となる大量の手話データが必要だ」と話す。多くの人に手話の映像を送ってもらう必要がある。ウエブサイトとスマホ専用アプリを公開し、協力を呼びかけている。

 北海道大とNTT東日本もAIを使った手話の自動翻訳システムの研究を進めている。病院や観光地などにカメラを設置し、手話担当者がいなくても問い合わせに応じられる環境整備を目指す。日本財団とグーグルはAIを使って楽しく手話を学んでもらうためのゲーム「手話タウン」を開発した。質問に手話で正しく答えると先に進める。日本財団のホームページで公開されている。

 全日本ろうあ連盟の担当者は「手話にも方言や地域固有の表現があり、今のAIによる翻訳はまだ十分でない。今後精度が上がれば有効な手段になるだろう」と話している。