ひと 不自由な口を動かして質問し続ける記者 川端 舞さん(29)

2021/10/28

朝日新聞 2021年10月20日

 茨城県つくば市のネットメディアのライター。脳性まひのため発音が難しいが、たどたどしい口調で質問を続けて取材する。伝わらなかったら何度でも。

 子どもの頃から、自分のことは自分でと思ってきた。普通学級で学び、筑波大学では大学院に進んだ。5年前に出会った、重度障害のある男性に「なぜ自力で食べようとするの?他の障害者が介助を受けにくくなるでしょう」と言われ、健常者に近づこうと無理を重ねていた自分に気付いた。人生観が変わった。

 障害者団体の機関誌に書いた文章がきっかけで編集者と知り合い、ライターに。同じように言語障害がある人でも、気兼ねなく話せる社会になってほしいから、取材での質問は必ず自分でする。左手の人差し指一本でパソコンを打ち執筆。障害者や貧困世帯支援に目を向け、昨年2月以来約50本の記事を書いた。報酬は1本6千円。その中から取材を手伝う介助者への報酬も支払う。

 重度障害者の就労支援の問題を書き続けるつもりだ。「この障害があるあらこそ、一生をかけて追い続けられる仕事が見つかりました」