新型出生前診断 国が関与

2021/07/04

毎日新聞 2021年4月1日

 妊婦の血液から胎児の染色体異常を推定する新型出生前診断(NIPT)に関し、厚生労働省の専門委員会は31日、実施施設などの審査や認証に国も関わることを柱とした報告書案を大筋で了承した。審査を担う運営委員会が今夏にも発足する。運営委は厚労省、日本産科婦人科学会(日産婦)などの関連学会、患者団体などで構成する。NIPT実施施設の認定基準を策定。審査・認証をし、検査実績などを定期的に検証する。

 NIPTの検査対象疾患は現在3疾患に限定している。報告書案は、技術的には全染色体を調べることが可能になりつつあるが、対象疾患拡大には「慎重な対応が必要」と指摘した。

 NIPTで胎児の疾患が確定すると妊婦の多くが中絶を選択するとされ、「命の選別」につながる懸念があり、国はこれまで「積極的に知らせる必要なない」との姿勢だった。厚労省は今回、この姿勢を転換し、全妊婦を対象に情報提供する方針を専門医に示した。母子健康手帳と一緒に出生前の検査についてのリーフレットを配布することを提示したが、専門医の報告書案は「検査を受けなければならないものとの圧力を感じる可能性がある」と指摘。現時点では、運営委による情報発信の充実や自治体の相談窓口の整備などを求めた。

 NIPTは2013年に国内に導入され、日産婦の指針に基づき日本医学会が認定してきたが、近年指針に従わない無認定施設が急増、厚労省は2020年10月に専門医を立ち上げ、議論を重ねてきた。