うちのSDGs  ろう児・難聴児の居場所に

2021/05/31

朝日新聞 2021年5月24日

 コロナ禍で孤立を深めるろう児や難聴児の「居場所」と、コミュニケーションを学べる場を広げよう大阪市中央区のNPO法人「Silent Voice」が奔走している。

 マスク着用が日常となり今まで以上に人とのやりとりが難しくなった。聞き返すことが増えて友だちから「しゃべりたくない」といわれ、地域の学校に通いにくくなった子もいたという。ろう学校が休校になり、手話がわからない親に気持ちが伝えられないという課題も浮き彫りになった。Silent Voiceはこれまで聴覚障害児のための総合学習塾「デフアカデミー」でサポートしてきた。基本は対面だったが、昨年5月にオンライン授業を始めると、久々に手話で話せることに涙を流す子もいたという。

 今年7月からは大阪府北摂と泉南で、出張教室とオンライン授業を織り交ぜた新しいプロジェクトを始める。この事業は、大阪府と村上財団(東京都)が共同で行う「コロナ禍における社会課題解決事業」にも採択された。6月末までにクラウドファンディングで目標300万円を集めれば、同額を村上財団から受けられる。スタッフの井戸上勝一さん(24)は「子どもたちが聞こえないことをマイナスにとらえず、自信をつけられる場を増やしたい」と話す。