ひと 小乃おのさん=吃音体験を描いたコミックエッセーを出版

2020/12/06

毎日新聞 2020年11月24日

 なかなか言葉が出てこない吃音で幼い頃からからかわれ、頑張って話そうとしては落ち込んだ。学生時代は人と話さずに生きる方法まで探した。大学生の時にアルバイトの接客で「何あれ、変な話し方」といわれ、心が折れた。心理学の先生に相談すると、「接客は言葉だけじゃないと思う」と言われた。人間関係は「言葉だけじゃない」と気付かされ、吃音と折り合えるようになった。

 同じような悩みや障害を抱え「生きづらさ」を感じている人の役に立ちたいと福祉の道を選んだ。2年前、吃音で悩む若者を紹介したインターネット番組を知り「自分が何とかなっているからって、忘れてはいけない」。自分なりの吃音とのつきあい方を伝えようと決心した。ケアマネージャーとして働きながら「どもっても生きやすい世の中に」と願い、体験を得意な漫画で描いた。周囲の人たちへ「ゆったり聞いてほしい。そうすれば、こらえていたたくさんの言葉が出せるのです」とメッセージも盛り込んだ。