「障害の記載強要され自殺」 大阪地裁 遺族、自治会を提訴

2020/08/07

朝日新聞 2020年8月1日

 大阪市の市営住宅で、昨年11月知的障害や精神障害がある男性(当時36)が自殺し、その原因は自治会役員の言動にあるとして、男性の両親が損害賠償を求める訴えを起こした。自殺の前日に、障害者であることやできない作業を文書に記すよう強要されたと訴えている。

 7月31日に第1回口頭弁論があり、自治会側は請求棄却を求めた。

 訴状によると、男性は統合失調症と診断され、療育手帳も交付されていた。市営住宅で一人暮らしだったが、くじ引きで班長に選ばれる可能性があることを知り、自治会役員に「精神の病気で班長ができない」と伝えたが「特別扱いできない」と言われたという。話し合った際、「しょうがいがあります」「おかねのけいさんはできません」などと書かされ、それを同じ階の住民に見せると言われた。男性は翌日、自殺した。

 原告側は、他人に知られたくない障害の内容を書かされたことはプライバシー権や人権の侵害に当たると主張。自治会側は、班長候補から外すには他の住民の理解を得る必要があり、書面を作成したと主張。強要もしていないと反論している。男性の兄(46)によると、男性は亡くなる前日、「さらし者にされる」と漏らしていたといい、「障害があることを人に知られるのをいやがっており、自ら書面を書くはずがない」と訴えている。