認定外の出生前診断「ビジネス化」

2020/08/07

朝日新聞 2020年7月28日

 新型出生前診断(NIPT)に、民間クリニックなど、日本医学会の認定を受けない施設の参入が相次いでいる。手軽に早く検査を受けたいと望む妊婦らの受け皿になっているが、妊婦の不安がビジネス化される懸念も浮かぶ

 大阪府内の開業医のもとにある仲介業者から「採血をしていただくだけで3万円の採血料をお支払いいたします」という資料が届いた。検査を受ける妊婦は業者がインターネットで募った上で紹介し、血液を検査業者に回す手配、結果の連絡もすべて業者が担うため、医療機関は採血だけの手間がかからない。

 NIPTは中絶という重い判断や、障害を持つ人への差別につながる懸念があるため、慎重に進められてきており、カウンセリングを受けられることが認定施設の条件になっている。先の業者と提携する、あるクリニックは採血だけで、前後のカウンセリングは行っていない。このクリニックの医師は「妊婦さんはすでにインターネットで情報を得ている。結果後どうするか女性自身が決めているなら、採血を受けられる機会は増えた方がよいはずだ」と話した。

 昨年末この業者を訪ねると、社員という男性が取材に応じ、採血だけを請け負うことについて「一般の人が待ちくたびれているから」と回答。

 認定施設は現在、大学病院など全国109カ所。「近くに施設がない」「予約が取りにくい」などの声もあり、認定外施設に妊婦が流れている。厚労省が22日に公表した調査結果によると、こうした施設は少なくとも54カ所、うち40カ所はカウンセリングを実施していなかった。