「死ぬ権利よりも生きる権利守る社会に」 ALSの舩後参院議員、事件受け

2020/08/03

毎日新聞 2020年7月23日

 京都市内のALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性に頼まれ、医師2人が薬物を投与して殺害した嘱託殺人事件。自身もALSを患うれいわ新撰組の舩後靖彦参議院は23日、以下のコメントを発表した。

 インターネット上などで、「自分だったら同じように考える」「安楽死を法的に認めてほしい」などの反応が出ているが、人工呼吸器をつけ、ALSという進行性難病とともに生きている当事者の立場から、強い懸念を抱いている。こうした考え方が、難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力が形成されていくことを危惧するからだ。私も、ALS宣告後2年間「死にたい、死にたい」と思っていた。しかし、患者同士が支え合うピアサポートなどを通じ自分の経験が他の患者さんの役に立つことを知った。死に直面して自分の使命を知り、人工呼吸器をつけて生きる決心をした。その時、呼吸器装着を選ばなければ、今の私はなかった。「死ぬ権利」よりも「生きる権利」を守る社会にしていくことが何よりも大切だ。どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信している。