ALS患者の依頼で殺害か 嘱託殺人容疑 医師2人逮捕

2020/08/02

朝日新聞 2020年7月24日

 全身の筋肉が衰える難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の女性患者から依頼を受け、京都市内の女性の自宅で薬物を投与して殺害したとして、京都府警は医師2人を嘱託殺人の疑いで逮捕した。この2人は女性の主治医ではなく、SNSを通じて知り合ったとみられる。

 捜査関係者によると、女性は一人暮らしで、介護が24時間必要な状態だったという。昨年11月30日午後、2人が女性宅を訪問、その後ヘルパーが異変に気付き119番通報、搬送先の病院で死亡が確認された。捜査で普段服用していない薬が投与されていたことがわかった。1人の口座には女性から150万円前後が振り込まれていたことも確認されたという。

 女性のものとみられるブログやツイッターには「こんな姿で生きたくないよ」「安楽死させてほしい」などと書き込まれていた。安楽死を巡っては、末期ガン患者に塩化カリウムを投与し、殺人罪に問われた医師への判決(1995年、横浜地裁)で、例外的に延命中止が認められるケースとして、①死が避けられず死期が迫っている②耐えがたい肉体的苦痛がある③苦痛を除く方法を尽くした④患者本人が安楽死を望む意志が明らか―の4要件が示された。京都府警は今回の事案は4要件を満たさない上、2人は主治医でない、金銭を受け取った後に初めて訪れた―などとして「安楽死には当たらない」と判断した。