見えないと読めません 聴覚障害の子 学校で困っています

2020/06/21

朝日新聞 2020年4月27日

 生まれつき耳が全く聞こえず、聴導犬とともに生活する安藤美紀さん(50)が、聴覚障害児が普通学校で学ぶうえで周囲に配慮してほしいことをまとめた冊子を作成した。

 安藤さんは手話と、相手の口の動きから言葉を読み取る「口話」を使ってコミュニケーションをとる。自身が代表を務めるNPO法人「MAMIE(マミー)」を通じ、学校などで聴導犬の役割を説明する講演を重ねている。ある日、聴覚障害のある子を普通学校に通わせている母親から「聞こえないことを先生や友だちに理解してもらうのが大変。聴覚障害児への対応方法を書いた本があれば」と相談を受けた。

 昨秋、マミーは難聴児の親の会や普通学校を卒業した当事者、関わる教員らにアンケート調査をした。204人から回答があり、切実な訴えが寄せられた。多くの聴覚障害児が教員や級友とコミュニケーションが取れず、孤立していた。一方、教員からも「他の教員が情報支援の重要さを理解してくれず、お願いするのがしんどい」「分からなくてもわかったふりをさせてしまうときがありそうで心配」などの声が寄せられた。

 アンケートを基に、具体事例と対応の仕方をイラストでわかりやすく解説している。冊子は、障害の分類や授業での配慮などをまとめた教員向けの「学校で聴覚障がい者に関して困ることって?」と、生徒向けの「学校での聴覚障がい者の対応方法」の2種類。教員向けは500円、生徒向けは講演などで無料配布する。申し込みはメール(mamie@mamie.jp)かファックス(0677395360)で受け付ける。