着床前診断 公開議論

2019/09/06

毎日新聞 2019年9月1日

 日本産科婦人科学会(日産婦)は31日、着床前診断の対象となる疾患や審査方法の見直しを公開の場で議論して検討する方針を決めた。対象拡大には「命の選別につながる懸念がさらに広がる」との意見もあることから、患者や倫理学者らも参加する社会的は議論の場が必要と判断した。3回程度開催する見通し。

 現在は、医療機関からの申請を受け日産婦が診断の可否を判断しているが、対象拡大と意見がまとまれば国に対し審査制度や法的な整備を要請する。

 昨年、命に関わらない失明や重い視覚障害の恐れがある遺伝性の目のがん「網膜芽細胞腫」の女性患者が申請を却下されたことに対し「子どもに遺伝すれば日常生活に大きな支障をきたす」と質問書を提出。実施を認めるべきか倫理委員会で意見が割れたという。

 日産婦の木村正理事長は「一学会で決めるには責任が重すぎる。判断を待っている患者もおり、できるだけ早く結論を出したい」と話した。