聴覚障害者との電話支援

2019/07/14

毎日新聞 2019年6月28日

 総務省と厚生労働省の有識者会議は、聴覚障害者がインターネットを使い手話や文字入力で電話できる「電話リレーサービス」について、国に公共インフラとして整備を求める方針を決めた。国はこれを受け、電気通信事業法の改正などを進め、早ければ2021年度の運用開始を目指す。

 電話リレーサービスは、手話通訳者が間に入り聴覚障害者と聞こえる人をつなぐ仕組み。2013年から日本財団がモデル事業を始めていたが、深夜は不通になる、110番などの緊急通報は受け付けない、などの制約があった。モデル事業も2020年度で終わる予定。

 議論で、安定的・継続的に運用できる公共インフラとして、電話と同等の利用環境の整備を段階的に目指すとする方向性がおおむねまとまった。運営は公益性のある組織が担い、健聴者と聴覚障害者の双方が音声通話と同等の料金でいつでもかけられるようにする案が出ている。国は手話通訳の確保と養成を進め、運営費を電話料金に含める形で国民に広く薄く負担を求めるかなどを詰めていく。緊急通報は受ける側のシステム改修なども必要なため、当面はサービスの対象外となる見通しだ。

 聴覚障害者らでつくるNPO法人「インフォーメーションギャップバスター」の伊藤芳浩理事長は「すべての人が完全に平等に電話を使用でき、誰も排除されない社会への一歩になるといい」と話す。