取り残された聴覚障害者 旧樺太・サハリンで 日本に「一時帰国」支援へ

2019/07/12

毎日新聞 2019年6月8日

 終戦前、多くの日本人が住んでいたロシア・サハリンに「自分は日本人」と名乗るろうの男性がいる。聴覚障害があるがゆえに、戦後の一時帰国の情報に接したり出自を確かめたりする機会を逸していたとみられる。支援者たちは「歴史に翻弄されサハリンで生きてきた彼の願いをかなえたい」と、日本に呼んで各地を案内する計画を立てている。

 男性はロシア国籍のヒラヌマ・ニコライさん(74)。本人の証言によると両親は日本人で、すでに他界。母と再婚した養父と妹と暮らし、今はロシア人の妻とコルサコフ(大泊)に住んでいる。

 ヒラヌマさんの存在は、国際手話の普及に取り組むNPO法人「UPTAIN」(東京)の理事長の高波美鈴さん(47)が昨年確認、9月に初対面した。