発達障害の子 育てる親つなぐ

2019/06/19

朝日新聞 2019年5月28日

 発達障害の息子の育児に思い詰めた経験を持つ静岡県御殿場市の加藤照美さんが、同じように葛藤する親たちをSNSでつないだ。今では8千人以上が参加している。

 加藤さんは、10年前3歳だった息子が泣き続けるのに困って臨床心理士に「私、このままでは虐待します」と泣きついたが、「この子には異常はありません。愛情不足です」と言われた。その後アスペルガー症候群と注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断がつくまでの5年間は「暗黒時代」だったという。専門家に相談してもアドバイスされるのは「それができたら苦労はしない」と思うことばかりだった。

 5年前、友人から「実はうちの子も…」と相談を受けるようになり、ならばとフェイスブック(FB)のグループを立ち上げると、全国に輪が広がった。自身が「今この瞬間が限界で、つらさをただ聞いてほしいのに」と感じていた経験から、このグループはアドバイスや議論をする場ではなく、平らな関係を築く。最初の半年は、追い詰められている親どうしでけんかが起きたり、やりとりがかみ合わないこともあり、「炎上」も経験した。しかし1千人を超えた頃には「みながいろんなタイプの経験を惜しみなく出してくれる、ありがたい空間になった」。

 加藤さんは「お互いの経験がどこかで重なり合えば、悩みは昇華できるはず」と信じる。

「発達障害の子をもつ親の会~話してみませんか~」(https://www.facebook.com/groups/531184400341029/)は、「グループに参加」ボタンを押してアンケートに回答すれば参加申請ができる。