障害者の学びの場 広げるには

2019/06/19

朝日新聞 2019年5月21日

 文部科学省の有識者会議「学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議」が3月、障害者の生涯学習をどう推進するのかについて、報告書をまとめた。

 文科省が18歳以上の障害者やその家族ら計4650人に行った2018年度の調査によると、学習機会の充実が必要であるとした人が81.1%、一方学習の機会がある、社会の理解があるとした人はそれぞれ34.3%、33.7%だった。文科省障害者学習支援推進室の高見暁子室長は「生涯学習の場は各地にあるが、その中に『障害者』という観点が入っていない」と指摘。2017年度調査では、障害者の生涯学習に関する組織がある都道府県は5.7%、市区町村は4.1%で。体制が整っていない実態が明らかになっている。

 こうした実態を受けて報告書では、取り組むべき施策として、➀学校教育から卒業後における学びへの円滑な移行➁多様な学びの場作り➂福祉・労働などの分野の取り組みと学びの連携の強化④基盤の整備―を挙げた。座長を務めた宮崎英憲・全国特別支援教育推進連盟理事長によると、「ゆっくり学ぶ人が多いので、時間をかけるという考えが大事」と話す。