15歳障害者死亡 逸失利益認定

2019/03/23

朝日新聞 2019年3月23日

 知的障害のある少年が福祉施設から行方不明になって死亡した事故で、将来得られたはずの「逸失利益」約7400万円などを両親が施設側に求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。田中秀幸裁判長は、障害者の雇用環境が改善されていることを指摘し、「知的障害者の一般企業での就労も直ちに否定すべきではない」とし、受け皿がある前提で個々の能力を検討する枠組みを示した。松沢さんについては、「特定の分野では、職業訓練をすれば健常者と同等の能力を発揮した可能性があった」と認め、一方「障害者とそうでない者の間に現存する就労格差や賃金格差も無視できない」として、請求の3割の逸失利益の支払いを命じた。

 亡くなったのは、八王子市の福祉施設に入所していた松沢和真さん(当時15)。無施錠の施設から外に出て、山中で遺体で見つかった。施設側は逸失利益を含まない慰謝料だけの支払いを提示したが、両親は拒否して提訴していた。弁護団は「能力を詳細に認定した暖かい判決」と評価。母・敬子さんは「19歳までの(平均賃金)グループにされたのは『やっぱり』という気持ちがある」と話した。