同意なく障害者からDNA採取 兵庫県警の違法捜査認める 神戸地裁判決

2019/03/23

毎日新聞 2019年3月12日

 本人の同意なしにDNA型鑑定のため口から組織片を採取したのは違法だとして重度の知的障害がある西宮市の男性(41)が兵庫県に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は13日、違法な捜査によるプライバシーの侵害を認め、県に11万円の支払いを命じた。

 原告側の弁護士によると、障害者に対する捜査手続きの妥当性をめぐる判決は珍しいという。

 男性は2015年10月にガイドヘルパーと外出した際、公園でポリ袋を燃やすなどして警察官から職務質問を受けた。西宮署に連れて行かれ、綿棒で口腔内の組織片を採取された。裁判では採取の同意の有無が争点となっていたが、山口浩司裁判長は「男性には遺伝情報を提供することの意味を理解する能力が欠けていた」と指摘、近くにいた父親は成年後見人ではなかった、などから「法的に有効な同意はなかった」とした。

 原告代理人の辻川圭乃弁護士は「障害者への捜査手続きのあり方を考えるきっかけになってほしい」と判決を評価した。