旧優生保護法を問う  障害者の子たち 今語る

2019/02/27

毎日新聞 2019年1月29日

 「私たちって『不良な子孫』なの?」―。旧優生保護法(1948~1996年)がある時代に生まれ、親が聴覚障害を持つ人たちが、複雑な思いを胸に同法に向き合おうとしている。同法や時代背景について学ぼうと、2月16日に東京都内で勉強会を開く。

 呼びかけているのは「聞こえない親をもつ聞こえる子どもの会」(J-CODA)。「親が聴覚障害の子」CODA(コーダ)は親を助ける役割を親や周囲から期待されることが多い。子どもの頃から高度な内容の通訳を担うなど特有の経験をしている一方で、本人には障害がないため社会の目が向けられることは少ない。企画を提案した村下初海さん(36)は、強制不妊国家賠償訴訟のニュースを「その時代に生まれた私たちに関係がある」と受け止めた。親が不妊手術を受け入れていれば、自分たちは生まれなかった。同時に、障害者が子を持つことの大変さも知っている。安東明珠花さん(27)は「勉強などを人一倍がんばってきたのは、優生思想のようなものがあったからかもしれない。次世代のためにも、この問題に向き合う責任を感じる」と語る。

 東大バリアフリー支援室に勤め、コーダについて研究する中津真美さん(50)は「障害者が親となり、育児をするのがイレギュラーという空気があるうちは、問題は終わらない」と力を込める。