発達障害の子 個性に合った指導を

2019/01/31

朝日新聞 2019年1月29日

 発達障害の子が進学・進級でつまずかないために、学校でどんな支援がいるのだろうか。専門家は「保護者とよく相談し、その子にあった切れ目のない指導が望ましい」と指摘する。

 三重県在住のある自閉症の男児(7)は、地域の小学校に入学し、特別支援学級に在籍。男児は、給食で好き嫌いをとがめられたり、授業に集中できないときに「立派な2年生になれないね」と言われたりして、ストレスからか、壁に頭を打ち付けるようになった。母親は「苦手なことをわがままと受け取られるのがつらい」と話し、特別支援学校の方が伸び伸びと過ごせたかも、と思い悩む。

 文部科学省は障害がある子の教育について、乳幼児期から学校卒業まで一貫した個別指導計画をつくり、保護者や療育施設、医療機関と連携するよう求めている。だが、男児の小学校では教員だけで指導計画をつくり、保護者と共有していなかった。教育委員会の担当者は「今後は保護者の意見・要望をふまえ、全職員で支援のあり方を共有したい」と話す。

 文科省によると2017年度、小中学校の特別支援学級に在籍した自閉症・情緒障害の子どもは計11万452人で、10年前の約3倍。発達障害の子らを進級・進学時に途切れなく支援することが課題になる。元特別支援学校教員の山根弘子さん(74)は「発達障害の子への支援は自治体や学校、教員により差が大きく、進級・進学でつまずく子も多い。特性を理解し、その子に応じた支援をするのが望ましい」と指摘する。熱心な指導が子どもを苦しめる場合もあり、「教員が勝手に決めたルールや文化を押しつけてはいけない」。その子に応じた工夫が必要だ。