ともに・2020バリアーゼロ社会へ センター試験、障害者配慮進む 志願者30年で10倍に

2019/01/18

毎日新聞2019年1月17日

 19,20日に実施される大学入試センター試験で、障害や病気のため、2087人が試験時間の延長など受験上の配慮を受けることが認められた。人数は試験が始まった29年前の10倍、割合は7倍となった。障害があっても進学できる道は少しずつ広がってきたものの、配慮の内容がまだ不十分との指摘もある。

 試験時間を延長した分休憩時間が短くなり、疲れてしまった、という人もある。障害の種類によっては、申請に必要な検査や診断ができる医療機関が限られ、準備が難しい場合もある。

 今回、センターは「パソコンの使用」を初めて明記した。センター試験での配慮は各大学の指標になっているので、各大学でも同様の対応が必要との流れになるだろう。

 課題もある。たとえば、文字を拡大した問題を使用する場合、ページ数が多くなりめくるのに時間がかかったり、「下線部の」という問題でその箇所を探すのに時間がかかったりする。試験時間の延長は最大でも1.5倍だが、より長い時間が必要な人もいる。しかし、センターは「現在でも終了は夜8時近く。これ以上の延長は難しい」との見解だ。読字障害を支援するパソコンの文章読み上げ機能や、計算障害を補助する電卓の使用は認められた例がない。障害者教育に詳しい中野泰志・慶応大教授は「試験で問うべきなのは、配慮で電卓を認めても不公平にならないような本質的な思考力ではないか」と話す。