〈吃音〉 男子中学生がいじめ訴え 学校は支援体制を

2018/11/23

毎日新聞 2018年11月19日

 吃音を理由にいじめを受けたとして、福井県の市立中学校に通う男子生徒が悩んでいる。十分に考えを伝えられず笑われるなどし、通学も滞りがちという。校長は「配慮が足りず、反省している」としている。

 同じ音を繰り返したり、言葉に詰まってしまう吃音の人は、人口の1%とされる。多くの人は「うまく話せなかったらどうしよう」という予期不安を覚える。症状を隠そうとするあまり、コミュニケーションを避ける人もいる。原因は解明できておらず、対応する機関も少ないのが現状。

 いじめを受けたという生徒は、自己紹介したとき名前を言えず、周囲から笑いの声があがった、部活動でも孤立、「学校には行きたいけど、涙がこぼれてくる」と話しているという。市教委に相談した保護者は、家庭訪問に来た担任に「吃音への理解を求めたい」と迫った。

 実際に、社会における吃音への理解は乏しい。毎日新聞のアンケート(2016年実施)では、回答した80人のうち50人が「吃音が原因で、学校や職場でいじめや差別を受けた経験がある」とし、55人が「社会的理解や支援」は不十分と答えている。

 NPO法人「全国言友会連絡協議会」事務局長の斉藤圭祐さん(37)は「学校は閉じられた空間。生徒は我慢もしただろうし、自己主張することの難しさを感じてきただろう」と話す。