傍聴席6割障害者用に  強制不妊国賠で札幌地裁

2018/11/06

毎日新聞 2018年9月25日

 札幌地裁(定塚誠所長)は、旧優生保護法で不妊手術を強いられたとして国に賠償を求めた男性の第1回口頭弁論を前に「あらゆる障害者」が審理を傍聴できるよう法廷の約6割の傍聴席を障害者や介助者、通訳者に割り当てることを決めた。旧法が強制不妊の標的にした障害は数多く、広範な障害者の傍聴が想定されるため、弁護団や障害者団体が地裁側に求めていた。

 きっかけは、初めて実名で名乗り出た札幌市の小島喜久夫さん(77)の訴訟。被害者の顔が見える裁判となったことで注目が集まり、多くの障害者たちが支援に訪れた。弁護団や障害者団体が札幌地裁に配慮を要望していた。

 障害者問題にくわしい全盲の大胡田誠弁護士は「旧法を問う訴訟がすべての障害者に重要であることを裁判所が認めたことになる」と評価。熊本地裁の原告団長を務める東俊裕弁護士も「札幌地裁は明確に文書で回答しており、全国の裁判所に影響するだろう」と期待する。