教育の窓 聴覚障害生徒の進学支援

2018/11/06

毎日新聞 2018年9月3日

 聴覚障害のある中高生の大学進学を支援するため、福祉専門の日本社会事業大学(東京都清瀬市)の現役学生らが講師を務める無料学習塾「ろう・難聴高校生の学習塾」が、都内で開かれている。生徒のニーズに合わせ、手話通訳や要約筆記を取り入れている。

 この塾は日本財団の支援を受け、2010年に始まった。全国的にも珍しい。毎週金曜日の午後6時半~9時5分に、スタッフ15人体制で開かれている。夏期・冬期講習も行う。生徒は30~40人。都内のろう学校の生徒が多いが、普通高校の生徒や隣県の生徒もいる。

 塾での学びを通じ、大学進学を果たした生徒もいる。一般の塾にも通ったが、授業について行くのが難しく、手話で勉強したいと、この塾に通っていた。

 塾を開校した狙いについて、同大学の斉藤くるみ教授は「ろう・難聴の中高生に対する高等教育の学習支援態勢の脆弱さ」を指摘する。また、学校現場に「『障害があるから手に職をつけなければ』という考えも根強い。障害を否定的に捉える考え方を変える必要がある」とも主張する。「障害があることを肯定的に捉えれば、可能性を狭めるような指導はしないはず。こうした塾がなくても、進学希望の生徒を支えられるよう、意識改革をしてほしい」と求めている。