フォーラム 新型出生前診断

2018/10/05

朝日新聞 2018年9月17日

 当事者3人の不安や葛藤を紹介。どのような結果でも生むつもりで診断を受けたが、実際に結果が出ると不安が押し寄せて中絶に傾いた、という女性は「染色体異常がある場合には産まない」と方針を決めてから受診する方がよいのではないかと考えるようになった。ダウン症の息子を持つ男性は、選別のためでなく、心の準備や命を考えるための診断になってほしいと話す。夫の単身赴任中に第2子を妊娠し検査を受けた女性は、自分が仕事を辞めるわけにはいかず、自分たち家族に必要な検査であり、その後の選択もやむを得なかったと考えている。

 日本家族計画協会理事長の北村邦夫さんは、産む幸せ、産まない幸せなど、いろいろな形がある。自分が十分納得していることが何よりも大切、という。

 立命館大学非常勤講師で、先天的な障害を持つ野崎泰伸さんは、障害があるとわかって中絶するのは「安易な問題解決」と言わざるを得ない、これは社会が障害者を忌み嫌い障害者が生きていくための制度が不十分なことが、カップルを追い込んでいるとも言えると考えている。その意味で、新型出生前診断の結果による中絶は、社会の構成員である我々ひとりひとりの責任が問われている、と言及している。