プリズム:重度障害者の「生産性」とは

2018/09/02

毎日新聞 2018年8月18日

 論説委員:野沢和弘

 近松門左衛門の生涯を描いた「埋み火」という小説のあとがきで、作者の杉本苑子さんが述べている「魂の奥底で木枯らしの音を聞く」ような作風は、近松が知的障害のことともに昇華を遂げ、浄瑠璃となって結晶したからだ、と紹介。

 上記の他にも例も引きながら、自分自身で何かを生み出すことができない障害者も間接的に生産活動をしているとは言えないか、と筆者は考える。多くの仕事、特に創造性に富んだ仕事はさまざまな価値観や感性が複雑に影響し合って生み出され、障害者も作家などの創作活動に影響を与えているに違いない、と論じている。