聴覚障害者の宿泊拒否 熱海市の施設「専用施設利用を」

2018/07/15

朝日新聞 2018年7月10日

 熱海市の青少年宿泊施設「姫の沢自然の家」が今年1月、聴覚障害者の団体・全国ろうあ連盟の申し込みを「安全が確保できない」として断っていたことがわかった。市教委は「障害者差別解消法の趣旨を理解していなかった」と謝罪した。

 同連盟青年部は7月14,15日に宿泊研修で、約100人の宿泊を予定していた。施設の空き状態を問い合わせたところ、付き添いの有無などを聞かれ、「聴覚障害者のみ」と伝えると、「他の専用施設を利用してください」と断られたという。静岡県聴覚障害者協会から相談を受けた県は「障害を理由に断ったと受け止められた」として、市に対応を指導、市教委が謝罪した。

 姫の沢自然の家の所長は、「施設はバリアフリーでなく、職員は手話ができない。災害時などに十分な避難誘導ができないと考えた」と話した。同協会の小倉健太郎事務局長は、「法律や条例があるから謝るというのは、差別の本質を捉えていない。安全確保で工夫できるところはどこなのか一緒に考える姿勢がほしかった」と話す。