広がる「助け合い」実感 車いすヒッチハイクに挑む寺田さん この1年

2018/06/17

朝日新聞 2018年6月1日

 車いすを押してもらう「ヒッチハイク」で47都道府県を回ろうと、東京都の寺田ユースケ(本名・湧将)さん(28)が東京を発って1年が過ぎた。寺田さんは感謝の気持ちでいっぱいだが、押す側の人からも「ありがとう」の言葉をもらっている。

 寺田さんは、脳性まひで両足がうまく動かせない。昨年10月宮城県気仙沼で車いすを押してくれた夫婦に、健常者と張り合う気持ちで大学まで車いすに乗らなかったこと、障害を題材にお笑い芸人になったこと、ホストも経験したこと-など、障害とどう向き合うか模索した過去や、障害に触れてはいけない雰囲気を感じた経験を話した。夫婦は東日本大震災で被災した当時の話をして「震災も障害も触れづらい話なのかもね」、「出会えてよかった」と言った。

 寺田さんは、気軽に「助けて(HELP)」と言えて、それを「後押し(PUSH)」できる社会になればと考え、「HELPUSH」と名付けたヒッチハイクを昨年4月から始めた。月の3週間は旅に出て、残りは資金を稼ぐため東京で働く。車いすを押してもらうのが基本だが、車に乗せてもらってもいい。目的地を書いた紙を掲げたり、ツイッターで呼びかけたりして、これまでに320組の人たちに協力してもらい、16道県をまわった。「多くの人に支えられていると感じる」。押してくれた人から「楽しかった」「車いすの扱い方もわかった」と喜ばれ、「互いの助け合いになっているのかな」と感じる。

 年内の踏破を目指し、クラウドファンディングで資金を募っている。旅の途中経過などは、ツイッター(@HELPUSH_STORY)で随時報告している。